エクセルで数式をコピーする時、セルの参照方法を理解して使用しないと、正しい計算結果が得られない場合があります。セルの参照方法には「相対参照」「絶対参照」「複合参照」があります。「絶対参照」は数式をコピーする場合によく使います。ここでは「絶対参照」$でセルを固定して計算する方法と、「相対参照」「複合参照」の説明をしていきます。
目次
相対参照
相対参照とは
数式をコピーする時、コピーした位置によって、数式で参照しているセルの範囲が変化します。行や列が挿入された場合も、数式で参照しているセルの範囲が変化します。相対参照の数式のセル参照には「$」が手前に付いていません。
相対参照の使い方
「C2」に計算式を入力します。
「C2」に計算式を下にコピーします。
絶対参照
絶対参照とは
数式をコピーする時、コピーした位置によって、数式で参照しているセルの範囲は変化しません。行や列が挿入された場合も、数式で参照しているセルの範囲は変化しません。絶対参照の数式のセル参照には「$」が手前に付いています。
絶対参照のショートカット
数式のセル参照で「A1」が入力された時に、キーボードのショートカットキー「F4」を押すと「$A$1」と「絶対参照」になります。
「$A$1」の「絶対参照」からもう一度「F4」を押すと「A$1」になります。
「$A$1」→「A$1」
「A$1」から「F4」を押すと「$A1」になります。
「A$1」→「$A1」
「$A1」から「F4」を押すと「A1」になります。
「$A1」→「A1」
絶対参照の使い方(四則計算の例)
「B2」に「絶対参照」を含む「四則計算」の式を入力します。求めるのは「税込みの金額」です。消費税率は「0.08」で、「税込みの金額」の計算ではこの値は変わりません
「E1」には消費税率は「0.08」が入力されています。この値が変化しないように絶対値「$E$1」にします。
C2 =(A2*$E$1)+A2
この式を下にコピーします。
「C2」の式をコピーしても絶対値にした「$E$1」は動きません。消費税率「0.08」が掛け算されます。
絶対参照の使い方(関数の例)
エクセルVLOOKUP関数の式で説明します。
VLOOKUP関数の式を「相対参照」で入力
「H2」に、セル範囲「A2:C7」の金額を返す式を入力します。
H2 =VLOOKUP(F2,A2:C7,3,FALSE)
「H2」の式を「H3:H7」にコピーします。
「H2」の式を「H3:H7」にコピーすると、「H4」「H6」「H7」が「#N/A」になっています。「H4」の式に注目しましょう。
H4 =VLOOKUP(F4,A4:D9,3,FALSE)
「H4」の式で、セルの範囲「A4:D9」が動いています。「セル範囲」が移動したので「#N/A」になります。このようにVLOOKUP関数の式で、「セル範囲」を「相対参照」にしてその式をコピーすると、「#N/A」になってしまうことがあります。
VLOOKUP関数の式を「絶対参照」で入力
「H2」に、セル範囲「A2:C7」の金額を返す式を入力します。
H2 =VLOOKUP(F2,$A$2:$C$7,3,FALSE)
「H2」の式を「H3:H7」にコピーします。
「H3」の式を見てみましょう。セルの範囲「$A$2:$C$7」は動いていません。セルが固定されて計算されます。VLOOKUP関数の式で、「セル範囲」を「絶対参照」にしてその式をコピーすると、完全一致する値が正しく返されます。
複合参照
複合参照とは
「相対参照」と「絶対参照」を組み合わせたセルの参照方式です。「複合参照」は、行方向と列方向に数式をコピーするときに使います。
複合参照の使い方
「C3」に「金額」に「割増金額」を足した式を入力します。
C3 =$B3+C$2
「C3」の式、「3」と「C」が「相対参照」、「$B」と「$2」が「絶対参照」になっています。
「C3」の式を「C4:C6」にコピーします。「C4:C6」には「金額」に「100」が加算される式が入力されます。「絶対参照」「$B」と「$2」は動いていません。セルは固定されて計算されます。
「C3」の式を「D3:F3」にコピーします。「D3:F3」には「1,000」に「割増金額」が加算される式が入力されます。同様に「C3~C6」の式を列方向に「F列」までコピーします。「金額」に「割増金額」を加算した式が入力されます。「絶対参照」「$B」と「$2」は動いていません。
「相対参照」「絶対参照」「複合参照」の違い
「相対参照」は、数式をコピーまたは行、列を挿入した場合、「セル参照」が動きますが、「絶対参照」は動きません。「相対参照」「絶対参照」は、行または列の一方の方向に、数式をコピーする場合と覚えておくといいでしょう。「複合参照」は「相対参照」「絶対参照」の混合です。「相対参照」の「セル参照」は動きますが、「絶対参照」は動きません。その特性を利用したのが「複合参照」です。「複合参照」の場合は行と列方向に、数式をコピーする時と覚えておきましょう。
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